パピルスは先にも書いたとおり記録用に発明された世界最古級の媒体のひとつ。プトレマイオス朝時代には特産品として他国に輸出されていたり、かのアレクサンドリア図書館の蔵書に使用されていたりとエジプトの歴史や書の歴史を語るには切っても切れないほどの重要性を持つ。また、英語の「ペーパー」の語源もパピルス由来であるとされる。これの原料となる植物の名称がそのままパピルスと言う。両面には書けず、また製法の都合上折り曲げるなどすると強度に問題が生じるため主に巻物状で使用された。7〜8世紀頃に現在の紙に近い製法のものが登場するまでは羊皮紙が大変高価だったこともあり中近東及び地中海周辺では比較的安価で済むパピルスが長らく使用されていた。その間、冊子状にする必要がある場合には羊皮紙が使われることもあったが(羊皮紙の方が耐久度が優れ、両面に記述可能であったため冊子には都合が良かった)、ほとんどの記録はやはりこのパピルスであった(東洋ではこの時代には主に木簡が使用されていた)。後にエジプトでは一度これらの製法が失われたが、長い年月を経て当時残された記述を元にシリア人が再現につい最近成功した。記録媒体としては石、羊皮紙などの獣皮に次ぐ歴史があるとされ、太古の副葬品の中にも数多く見る事ができ、各時代の文化や思想を知るのにも大きく貢献して来た。ここでは記録を表す比喩的な意味を込めてこの名を冠した。昔からパピルスの名は古文書などにも冠せられる場合があり、優秀な記録の証明だとも言われる。 |