紅楼夢とは中国古代古典の一つで、日本での知名度はあまり高くないが、アジア大陸では水滸伝や三国志、西遊記などと並ぶほどのメジャータイトル。中国ではこれを専門に研究している学問を紅学と呼び、他の文学研究とは別格の扱いとしているほど。主人公と女性二人による三角関係とその心理の推移を細やかに描写しつつも、その一方では当時の社会・政治体制に対する批判などが盛り込まれており、当時の歴史的な背景を読み解くのにも重要な意味合いを持っている。また、映画や舞台演劇などさまざまなメディアにもよく用いられるモチーフで、その人気は群を抜いている。台湾の紅学研究家が、「中国は次の三つが禁止されればまたたく間にアメリカを超える大発展を成し遂げるだろう。すなわち阿片と麻雀と紅楼夢だ」とも言ったほどで、仕事が手につかなくなるほど中毒性が高くのめり込んでしまう面白さだと言う。また、同研究家は日本の源氏物語が台湾で流行らなかったのは紅楼夢があったからだとも述べている。世界各国で翻訳されており、近年改めて注目されつつある。 |